美濃路でひときわ目を引く古民家が、「湊屋(みなとや)文右衛門邸」です。宿場町・起宿で船問屋として栄えて、1864年(元治元年)頃に建てられたと推定されています。家主の転居により空き家となってしまいましたが、買い手が現れたために「旧湊屋文右衛門邸」として愛着が持たれているのです。
すぐ近くを木曽川が流れていて、船場を往来する渡し船の管理運営を任されていたのが家主です。舟運を利用して遠隔地との取引を行ない、縞木綿(しまもめん)を扱う仲買商として繁栄しました。濃尾大地震にも耐えた歴史的建造物は、文化庁の登録有形文化財に登録されています。一宮市で誇れる名所です。
「旧湊屋文右衛門邸」の居間や玄関、台所を改装して、茶店湊屋が営業されています。「旧湊屋文右衛門邸」の2階や土蔵など、公開されていない場所もありますが、掛け軸や趣のある調度品などを見ることができます。
旧湊屋文右衛門邸を食の拠点として美濃路の振興を図り、かつ集会の場に活用して日本の伝統的な暮らし方を考えることを目的とした湊屋倶楽部を発足して、継承や保存活動に努めています。木曽川河川敷では、毎週水曜日に湊屋朝市を開催。(text in 2013.7.3)
