一宮地場産業ファッションデザインセンター(通称はFDC)の主催で、日本で唯一の糸の展示商談会「ジャパン・ヤーン・フェア」と、尾州産地の素材力をひろく発信する総合展「THE 尾州」が同時に開催されます。平日開催による業界関係者向けのイベントのため、一般客の来場は少ないです。会場となる一宮市総合体育館の駐車場(臨時駐車場も開放)が使用できるためクルマでの来場も可能ですが、一宮駅と木曽川駅から無料シャトルバスが運行されているので利用したいです。
ものづくりの職人・匠は説明が苦手なため、そのストーリー、過程を見せていきたい、と主催者側は考えています。尾州産地を考える会の展示会、ジャパン・テキスタイル・コンテスト2013優秀作品展、「BISHU RUNWAY Men’s Fashion Contest」作品展、翔工房作品展、尾州匠コレクション、尾州テキスタイルマルシェ、記念講演やセミナーなど、企画コーナーに溢れています。日頃から取引のある業界関係者が、お互いに顔を合わせて挨拶できる貴重な機会とも言えます。仕事以外の話も聞こえてきました。
全体として来場者は少なく、その規模は小さいかもしれませんが、だからといって手を抜いていいわけではありません。参加した学生においては、そんな心配は皆無で試行錯誤を重ねてきた経緯を感じました。一般客向けにイベント内容を刷新するか、業界向けに企画の厚みを増していくか、時代にあった的確な判断に期待します。
「翔工房」では学生と匠の交流があり、学生にとってはとてもいい刺激になったようです。一般客にもひろく開放することで、業界全体への相乗効果が見込めると思われます。実際に街中にある工場を訪ねて、製造工程を見たくなったイベントです。
一般客が入場できない「ジャパン・ヤーン・フェア」には多くの関係者で溢れます。商談のテーブルは、各ブースのすぐ前、個室、ホールにそれぞれ用意されています。よりよい取引関係のために挨拶に来た、という声がありました。
「尾州匠コレクション」コーナーでは、共通テーマによって開発されたテキスタイルやガーメントを展示。一本の糸選びから仕上げまでの匠の魂を感じたいです。匠ネットワークメンバーの高齢化が気になります。
学生のアイデアと匠の技のコラボレーション企画「翔工房(しょうこうぼう)」。学生の「もっとこうしたい」、匠の「難しいけれどやってみるか」という会話が聞こえてきそうです。毎年4月ごろに、各学校を通じて広く公募されます。
学校による作品展もありました。一宮高校ファッション創造科と名古屋学芸大学のコーナーで、卒業研究の発表の場となっています。煌びやかなドレスは映えますが、凛とした和装にこそ魅力を感じます。ファッションとは何か、そのメッセージが強く打ち出せる未来を望みます。
尾州産地で製作された高品質なテキスタイルが購入可能。1.5から3メートル程度に小分けされています。カシミヤ100%のマフラーやカラフルな端切れも販売されています。一宮市公式のTシャツも手に取りたいです。
会場内ではお弁当の販売もあり。冷めているのが惜しいです。また、小さな売店でコーヒーや紅茶が1杯100円、ソフトクリームが250円でそれぞれ購入できます。自動販売機(120円から)で買うよりも安いので重宝したいです。
Pick UP
日本のほぼ中央で、愛知県西北部に位置する尾張西部地域を「尾州」と称します。この尾州産地では、糸から製品(テキスタイルやガーメント)までの造る技術と歴史があります。技術の継承と更なる発展を目指したのが「尾州産地を考える会」です。
尾州産地を考える会(2010年12月発足)
約80社加盟(2014年2月現在)